「おいベオーク」

「ちょっとテッド」

「ねぇルック」

 三人が同時に声を発した。

 石版の間にいたルックを押し掛けてきたベオーク。そのベオークをあしらっていたルックであるが、いい加減殺意が芽生え始めてきた頃にテッドがやってきたのだ。

 そして口を開いた。

「下に」「こいつ」「どっかに」
「エルフが」「邪魔」「デートしに」
「来てるぞ」「なんだけど」「行こうよ!」

 三人には協調性がなかった。




言わぬ真相知る者の秘密




「えぇいちょっと黙れ!」

「…なにさ」

「どうかしたのテッド?」

 それぞれに話す二人を、自分もそうであったことを棚上げしてテッドは声を荒げて静めた。

「ベオーク、仕事だ」

「だから今こうしてルックをナンパ」

「ほざくな」

「エルフが来てるんだよ」

「何しに?厄介ごとは嫌だなー」

「軍主が。仕事しろよ」

「エルフがわざわざどうしてだい?」

 ルックの一言に、やる気のなかったベオークの表情が一変した。

 テッドは腰に手を当て、ベオークのその態度に呆れつつ言った。


「助けてくれとよ」






「助けて下さい!」

 ベオークがエルフの前に姿を現し、それが軍主だと知るやエルフは叫んだ。

 それをベオークはどこから取りだしたのかスリッパで頭を叩く。

「どっかの映画のワンシーンみたいなこと言わない!」

 突然頭を叩かれたエルフはクエスチョンマークを浮かべつつも平静を取り戻した。とりあえず謝り、話し出す。

「僕の名前はキルキスと言います。お願いです、どうか大森林を救って下さい…!」

 キルキスの話は、つまり、ドワーフの技術を集結した兵器、焦魔鏡の設計図が奪われクワンダによりそれが造られたらしい。そして焦魔鏡は、大森林に向こうとしているということだ。

「ベオーク殿、解放軍を頼って来た者を放っておけば、軍は信頼を得られません」

「だけど、兵を出せるだけの力は今の解放軍にはない。僕は良いよ!ルックも一緒ならさ〜」

 マッシュの言に、ベオークは答える。

「では、適当に数人見繕って対処してきて下さい」

「やった!ルックとデートする口実に…」

「強姦罪持ちの軍主は御免被りたいです」

「誰がヤられるか」

 階段を上ってきたルックが姿を現した。そしてすぐさまマッシュに反論する。

「ルック!駄目だよルックがヤられるとか言っちゃ!」

「ほざけ。どうせ僕も行くんだろう。ほら、早く他の奴等も支度しなよ」

「待っててルック!すぐに戻ってくるからーーっ!!」






 宣言通り、ベオークはグレミオ、クレオを連れ数分で戻ってきた。大夫急かしたのだろう。二人は出かける前から若干の疲労を伺わせていた。キルキスの方も大森林が気に掛かるようで既に準備は出来ていた。

「じゃあ行こうかルック!」

「あ、ちょっと待って」

「いつまででも待ちます」

「テッドがまだだ」

「いいよテッドなんてー」

「そういうなよ親友。ちょっとラジオの電池の予備を取りに行ってただけじゃねぇか」

 テッドには構うのに自分は構われないという妬みから、ベオークはテッドの同行を渋った。しかし丁度テッドが現れなだめる。

「いい加減諦めればいいのに」

「何年続けてると思ってんだ。そう易々と止められるか」

「150年くらい。スパッと止める度量もないのー?」

 ピタとテッドが動きを止める。

「…おいベオーク、オレはいつその年をお前に教えた?」

「……知りたい?」

 にやりと笑って、ベオークは答えない。

「ああ…是非ともご教授頂きたいね。前からお前の言動には不審を抱くことも多かった。知っているはずがないことを、お前は容易く言ってのける。技術どうこうなんて関係ない。その情報源は、一体なんなんだ?」

 シーン、と。その場は静まり返る。いつもラジオでの競馬中継くらいにしか真剣にならないあのテッドがと、グレミオとクレオは目を見張った。キルキスはいったい何の話なのかと解らずにおろおろしていたが、雰囲気から黙っていることを選んだ。そしてルックは、自らも気になっていたベオークの情報源を聞くチャンスだと事の次第を見守っている。

「そうだね、そろそろ教えてもいいかも知れない。テッドならね!」

「………はぁ〜〜〜…解ったよ、帰るまでお預け喰らってればいいんだろ」

「ザッツライト!まぁ、誤魔化すなんてしないから安心してよ」

 あははは、と笑い、一行は漸く大森林へと出発を果たした。














一番悩んだのは題名だったり。どうもいまいち。
そして、パンヌ・ヤクタ終わったらネタばらしです。
大したこと無いのにいつまでも引っ張ってるのはなぁと思いまして。
にしても、進まないなぁ!