そりゃね、僕は体力なんてないし打たれ弱いし力もないよ。
 でもね、知力はあるし紋章術があって魔力もある。


 ねぇ、僕は君に劣っているだろうか?




ただ愛しいだけなんです。



 君は僕を遠征に連れて行きたがらない。なんらかの事情があって僕が同行しなくてはいけない時、君はそれを渋面で持ってしぶしぶ了承するけれど、やたらと僕の前に立つ。なんてことない下級の魔物にすら目くじら立てて全力で潰しにかかる。僕はそんなに頼りないのか。本拠地に帰れば帰ったで「怪我はないか」「疲れてないか」「腹は空かないか」。


 ふざけるのもいい加減にしろ。


 僕は城下にある将軍の屋敷でメイドや執事に囲まれて至れり尽くされな生活を送っていた君とは違うの。わかるかな、君は僕のこと馬鹿にしてるって。怪我はないかは100歩譲って許してやるけど、僕には癒しの風があるし、遠征で疲れないやつがいるものか。果てはなんだ、腹は空かないか?腹が減ったなら自分で!自分の足で!自分の意思で食堂に行くよ!箱入りのお坊ちゃんと一緒にしないでよね、ホント苛々して鳥肌が立つ。


 いいかい、君は自分の立場を理解しなきゃいけないよ。僕一人に構っていられるほど暇じゃないし変な噂が出回るから付きまとうのをやめろ!知らない?知らないだろうねまさか君の耳にそんな噂入れるわけにも行かないだろうからね。教えてやろうか?君は男の尻を追っかけまわしてるなんて言われてるんだよ。君だけならまだしもその相手が僕!よりによって僕!!あぁあああぁぁあもう本当に勘弁してよね。すっごく不愉快!


 話を元に戻すけど、僕は君に面倒見られるような能無しじゃないの。君に庇われる、その度にその背中を切り刻んでやりたくなる!そんなに僕が心配?そんなに頼りない?君のその行動が僕の自尊心をいたく傷つけていることにいい加減気がついて!僕は君と比べて劣っているだなんて思われたくもないし思いたくもない!君のその行動は僕の保護者面して庇護下に置きたがっている様に感じて虫唾が走る。


 僕は守ってもらわなきゃいけないほどか弱くもないし大人しくもない。自分のことくらい自分で守れるし、僕だって君を守ってやれるくらいの力がある。



 なのに、君にとって僕は対等じゃないんだ。

 それがはらわた煮えくり返るくらい気に入らない。

 ねぇ、解放軍の軍主さま。

 


 悔しくないわけがないと思わない?

 

 

「・・・・・・・・・」

「・・・・・・あのねルック」

「なに」

「僕はルックのことを対等だと思っているし、むしろ僕なんかよりすごい存在だと思っているんだ」

「なら庇うな」

「でもね、君が好きなんだ」

「・・・・・・はっ?」

「君のにちょっかいかけるのが楽しいし、いくら君が強くても悪意を持った攻撃を仕掛けられるという事がすでに僕の中では極刑に値するし、君の心配をすることが幸せでたまらないんだ」

「え、ちょ、ま」

「でもルックがそんなに苦しんでいたなんて、僕はなんてことをしていたんだろう・・・いくら君が好きだからって君の気持ちをもっとしっかり考えるべきだった」

「ぼ、僕用事が」

「だからねルック」

「ひっ」

「これからはずーーっと一緒にいようね」

「・・・・・・っ」


「愛してるよ」


「いやぁぁあああぁああぁああぁぁ」