注 作中で「殺人」が大変軽く扱われています。
出血のあるややグロテスクなものも含まれています。
精神的に病んでるものが大多数なので、ご覧になる際は大変ご注意下さい。
Ruu様が配布なされているお題、
「イタイ恋のお題」
をお借りしました。
配布元はこちら。
苦しいからキスしよう
「ああ、死んでしまいそう」
「あら、そんな風には見えないわ。寝っころがってテレビ見てるじゃない」
「関係ないさ。酸素が足りないんだよ」
「どうしようもないわね」
「見捨てないでおくれよ」
「どうしようもないっていったじゃない。せいぜい苦しんでくたばる事ね」
「ずるいな。そんなこと言われたら、がんばって無理心中するしかないじゃないか」
「その前に絞め殺してやるわよ」
「遠慮しとこうかな。それで」
「ん?」
「キスは?」
「今すぐ息の根止めてあげましょうか」
痛いのは、空っぽなはずのこの胸だったりする
私は人を愛せない人間です。
なぜならそれを知らないからです。
ある日告白とやらをされ、とりあえずつき合ってみることにしました。
彼はいつも一生懸命で、私はそうではありませんでした。
彼に「愛」も湧かず、暫くを共に過ごしました。
ついに彼は言いました。
“終わりにしましょう”
泣いていたのは私をフッた彼の方で、私をまだ愛しているけれど、欠片も返ってこない愛が痛いのだと。
言って彼は去りました。
見えなくなった彼の背中。
私の頬は、何かに濡れていた。
ああ、これが「愛」なのかしら。
ずきり ずきり
愛するなら、殺す(殺される)覚悟をして下さい
「あなたが好きです殺して下さい」
目の前で、爽やかに笑う青年が言った。
私はその青年を知らなかったので、
「はじめましてこんにちは。すみませんがどなたですか?」
と尋ねた。
「これはご無礼を。僕はしがない自殺志願者なのですが、一目惚れしましたあなたに是非に殺していただきたいと思いまして」
「はぁ。どうもご丁寧に…」
「それで、どうでしょう」
笑みをたたえたまま、返事を求めた。
「すみませんが他を当たって下さい」
「どうしてですか?」
「あなたを愛していないからです」
そうですか、それはとても残念です。そう悲しそうに笑って彼は去っていった。
「他人の死の重みを背負うなんてまっぴらです」
死ぬのなら勝手に死んで下さい。
束縛だけがあなたを救う
「お願いです。僕を愛して下さい」
「嫌よ。お断りだわ」
縛られて、押し込められた部屋の中。
その女に、希う男。
「愛して下さい」
「誰があなたなんて愛すと言うの?」
「あなたが」
思わず嘲笑。
「馬鹿言わないでちょうだい」
「愛して下さい。愛して下さい。愛して下さい」
「嫌。そうしなきゃ生きてもいられないくせに」
部屋の中に縛られた女と、その女に縋って請う男。
束縛されてるのは、どっち?
溺れる私はあなたをつかむ
流される。流される。
人の流れ。流行りもの。時代。
「常識」に溺れてる。
逸脱した日常なんて送れない。
溺れてる。溺れてる。
流されていると、伸ばされた手。
だから、掴んでみようと手を伸ばした。
あと、もう少しというところで。
ひょいと手は逃げ出した。
もう。
一生溺れてればいいのでしょう。
あなたを思うほど私は壊れて行く
『殺したい』
あの男。私の愛しい人を殺した。
あの女。僕の愛しい人を殺した。
憎くて憎くて恨めしい。
思考が染まっていく。
あの男を。
あの女を。
『殺したい』
思考が染まっていく。
あの男のことを考える。
あの女のことを考える。
『嘘だ』
好きじゃない。
愛してない。
殺さなくては。
復讐しなくては。
『でも』
そうか。
「「殺される前に殺さなければ」」
私、きっと狂っているんです
「あなたが好きよ」
「僕も好きだよ」
「何よそれ。私あなたなんて大嫌いだわ。死ねばいい」
「僕も嫌いだよ」
「あなたが好きよ」
「僕も好きだよ」
「あなたに魅力なんてあるとでも思ってるの?世のためにさっさと死ね」
「僕も、嫌いだよ」
「あなたが好きよ。でも好きにならないでね」
「君が、大嫌いだよ」
「あなたが好き。大好きよ。でも、愛を返されると堪らなく疎ましいの」
「……」
「だから、ずっと嫌いでいてね」
あぁ、好飢(すき)だよ。
君を愛せば幸せだけど、まるで一方通行。
こんなにも愛しいのに。
愛したいのに。
僕は愛を貰うだけ。与えられない。
好きだよ。好きだよ。
でも僕は、君を嫌いでいなきゃいけない。
こんなの恋愛でもなんでもない。
わかってはいるけれど。
離れられない。
好きなのに。満たされない。
ああ、僕はカラッポ。
大嫌いで、大好きで、殺したいほど愛してる
「あはははははは!」
私の手をナイフで壁に縫い止めて。
彼は面白そうにけらけら笑っている。
もう一本ナイフを取り出して、腕にぴー、と線を何本も引いた。
血が垂れて床にぽたぽたと水たまりを作る。
握ったナイフをは太股に突き刺された。
「はははははは。……」
笑っていたのにそれはピタと止んで。
私の手からナイフを引き抜く。
どば、と血があふれ出て、彼は真っ白い清潔なタオルで止血する。
救護セットを取り出して、適切に処置をしていく。
足からもナイフを抜き、手と同様。
「大好きだよ」
綺麗に包帯が巻き終わると、傷口のある掌に、布越しのキスを落とされる。
「でも大嫌い」
巻かれた包帯の上から、ぐ、と傷口を押しつける。
カチャ、とナイフを再び握って、私を抱きしめる。
取られた手を上に伸ばして。
ぐさり
包帯の上からまた突き刺される。
「殺したいほど愛してる」
切ないなんて甘ったるいもんじゃない
「あんたなんて大嫌いよ!」
「そう。じゃあ残念だけど終わりかな」
「当たり前よ。もうやってらんないわ」
「心当たりが多すぎてなんとも言えないや」
「その思い当たるすこと全てが、むかつくわ!」
「それはごめんね」
「さっさと消えろ浮気野郎!!」
「うーん。実は僕、」
「なによ」
「泣き顔に弱くて」
「泣いてなんかないわ!良いから失せろ!!」
「じゃあ、その心の汗を是非とも僕に止めさせていただきたいな」
「うるさい!!もう遅いのよ!あんたのする事なす事いっつも手遅れ!もう嫌よ。いい加減にして!」
「……それじゃ、さよならだ」
「そういってるじゃない…!」
「バイバイ」
「二度とツラ見せんなぁっ!!」
壊してやりたい
「バトルロワイヤルしよう」
「二人で?」
「うん」
「なんでまた」
「正当な理由を付けて君を壊してみたい」
「どこが正当よ」
「うーん。ルールがあるところ?」
「ルールってどんなだっけ」
「僕も憶えていないから、特別ルール」
「どんな」
「壊すときは、自分も壊れる」
「それってルールじゃないわ」
「そうかなぁ」
「そうよ。でもいいわ。私もルールを作るから」
「どんな」
「壊すときはレディーファースト」
「うん?それは君が僕を壊すって事」
「そうよ。でもあなたのルールも守るわよ?」
「うーむ迷うなぁ。僕は君を壊したかったんだけれど」
「ふふ。譲って?」
「しょうがないなぁ」
「ありがとう。私だって、あなたを壊してみたいもの」
痛くて、苦しくて、涙がでるほど甘い恋
彼女が好きです。
現在進行形で、彼女が好きです。
5年つき合ってきて、ずっと幸せでした。
今も幸せでいたいです。
でも彼女はもういません。
人間はとても儚くて、彼女は病気で死んでしまいました。
痛いです。
心臓をわしづかみにされました。
苦しいです。
首を絞められています。
それでも僕は生きていて、彼女はもう粉々になった骨しかいません。
好きです。好きです。愛しい貴女。
ぼろぼろと止め処ない涙は、やっぱり涙で、しょっぱいです。
でも、この気持ちも、思い出も。
涙が出るほど甘い恋です。
あなたの愛でベタベタにして
「あなたの愛でベタベタにして」
「ああ、すまないね。僕の愛は粘着性はないんだ。サラサラだから」
「じゃあサラサラでも良いわ。それに水を足せばそこそこベタベタになるわよ」
「ああ、すまないね。僕の愛は水と分離するんだ。水に浮くだけさ」
「私が言いたいのは」
「愛が足りないって?」
「そうよ」
「酷いなぁ。こんなに愛してるのに」
「嘘おっしゃい」
「それじゃあどうしようか」
「やる気ないわね」
「うーん。だって君、本当はそんなこと望んじゃいないだろう?」
「あらわかる?」
「そりゃわかるさ。僕は愛してるけど、君の愛はすぐに渇く水だから」
「だらしのない愛だわ」
「ベタベタにしてあげようか」
「遠慮するわ。だってどうでもいいんだもの」
そして涙はとまらない
行かないで。
未練たらしくあなたに縋って。
全部上げるからと貴方を釣る。
でもわかってた。
私が持ってるもの全部、貴方は欲しちゃいないこと。
待って。待って。行かないで。
貴方は誰もが怪しむ魔法使いだけれど。
とても優しいことを知っているから。
どうしたら行かないでいてくれるの?
聞いて、こたえを望む。
貴方は思案して、
「ではその涙を、永遠にいただこう」
貴方が欲しがるもの、私持っていた。
それが嬉しい。
貴方がずっといてくれることが。
とても嬉しい。
7日7晩泣き続けて、結局私は枯れて死んでしまったのだけれど。
貴方はその涙をずっと持っていたくれるから。
約束を守ってくれたんだ。
私の傍から、離れて行かないで。
君だって恋をして歪む
「あ、あの子可愛い。殺したなぁ」
「おいおい物騒だな」
「そうか?お、あの子もなかなか殺しがいがありそうだ」
「お前のその見境なさどうにかしろよ」
「お前浮気はしないけど1人1人が短いよな」
「欲求には勝てんよ」
「一度欲求を果たしたらもうその子生きてないじゃん」
「当たり前だろ。僕が今探し求めているのは、3回くらい死ねる人」
「比喩じゃなく?」
「比喩じゃなく」
「そらまた水準が高いこと」
「そうなんだ。おかげで暫くご無沙汰」
「ふーん。じゃあナンパしに行こう。きっとすぐ殺させてくれる子2、3人はいるよ」
「そうかな。まぁ久しぶりにナンパもいいかもね」
「はやく欲求不満解消したいだけだろ」
「そうとも言う」