プロローグ
数多ある世界の一つ、ミドカルズ。その果ての地にて争いがあった。
ニブルヘイムとヨーツンヘイム。この二国は同時期に興った国であり、それが元で互いに競っていた。
そして興ってから九十二年。それは戦争にまで発展しようとしていた。
両国の間にはヴィグリードという名の国があった。領土は二国に比べると小さなものであるが、戦力が拮抗している二国のどちらかがその国を手に入れれば、戦争はそちらの勝利となるだろう。
二国の若き王達は、互いにその小さな国が欲しかった。
ニブルヘイム四代目国王シルフィード・ティル・ユドゥスフラン。王位継承より二年、前王病死のため若くして王位を継ぐ。その歳は二十五。
ヨーツンヘイム三代目国王フェレスト・ルイ・バルスヌティス。王位継承より五年。前王老死のため、父も亡く王位を継ぐ。その歳は二十七。
そしてヴィグリード国王クロスト・ジャミラ・アトランテ。その名が遙か昔より変わることはなく、代々王位と共に継承されると思われる。その他、不詳。
小国を狙う二つの大国。かくして幕はおとされた。