夢なのだろうか。

それとも、やっぱり現実?

そんなのはわからない。

でも今目の前にいる彼は…

どういうことなんだ?


なぁ、親友。




残像記録




 あれからどれくらい時間が経ったのかはわからなかったが、沸々と暗闇の中で意識が沸いてゆく。
 僕は微睡みから目覚めた。

「………」

 目に入ったのは木目だった。感じる重力から僕は横になっていて、その木目が天井であることがわかる。
 のそりと体を起こしてあたりを見回すと、それは昨夜と同じゾラックの家の客間だ。

 と、ガチャと控えめに音を立ててドアが開かれた。

「ルック…」

「目、覚めたんだ」

 それと同時に吐き出されたため息には、安堵の意が見て取れた。

「あれからどうなった?ネクロードは…」

「ネクロードは帰ったよ。…テンガアールが自分であいつの元に行ってその場を治めた」

「!!まずいな…すぐ手を打たなければ」

「うん…。みんなもそろそろ起きてくると思うし」

 様子を見に来ただけだから。そう言って出て行こうとするルックを引き留めた。

「ねぇ、ルック」

「なに?」

「眠らせたのは、ルックの風?」

 それを聞いた瞬間、ルックの動きがピタと止まった。聞いてはいけなかったかと少し後悔したが、ルックが僕を眠らせた背景に、それが何かも知らず腹が立っていた。
 あの時、ネクロードが何か言おうとしていた。ルックはそれに苦しめられていたように見えた。

「かの大国の行き神」。そんな呼ばれ方をしているのは、僕の知る限りハルモニア神聖国の神官長だけだ。ルックは、ネクロードの言葉に普段の彼と比べものにならないくらいに動揺していた。
 そこまでルックを占めるそれに、僕はきっと嫉妬しているのだろう。この醜い気持ちが、きっとそれなのだろう。

「……ごめん…」

 長い沈黙の後に発せられたのは謝罪の言葉。
 何に対しての謝罪?
 それは敵前で、それも焦ったのか神なる風で僕を眠らせたことにではない。

 言えないことへの、謝罪。

「…うん、わかった」

 あの泣き出してしまいそうなルックの顔を思い出すと、追求するのは憚られた。



 ルックと一緒に部屋を出てゾラックの元へ向かう途中、ビクトールとフリック、クレオに会った。
 3人とも大事ないようで、僕等と同じようにゾラックの元へ行くようだった。

 ノックをして入ると、ゾラックはそこにいた。

「おい。あの変態ヤローをぶちのめすためにどうにかしなきゃなんねぇ。何かねぇのか」

「ビクトール。いくらこの村長が何代も前からの伝承みたいなことを知っているからって…」

「あそこならあるかも知れんな」

 フリックのビクトールを咎める声を遮り、ゾラックはあっけらかんと言ってみせる。

「この村から東に行ったところにクロン寺院という場所があります。あそこになら、なにかあるかも知れないですな」

「何かって頼りねぇなぁ」

「いや、あそこにならなにかあってもおかしくない」

 ゾラックは微笑んで言った。

「貴方ならそう仰ると思いました。ラーグ・マクドール殿」

「やはり、憶えておいででしたか」

 僕は苦笑して答える。

 ロリマー地方はマクドール家の領地だ。僕は昔からこの地方を何度も訪れている。直接話したことはなかったが、父の後ろからゾラックを見た覚えがある。

 クロン寺院にも赴いたことがあり、その時抱いた気持ちは幼いながらも解せないものがある、不思議な雰囲気の所だった。

「早速行ってみます。クロン寺院に」

「はい。ところで」

 その直後スラスラと語られる戦士の村とクロン寺院の歴史を前に、「急ぐので」とゾラックの家を逃げるように飛び出した。


 フッケンに話すと、過去の洞窟に案内された。
 彼は老僧で、世の流れと物事の本質を見る力を宿らせていた。それは長い修行によるもので、しかしその実才能がなければ実らない力だった。フッケンはその力持って、僕等にはこの洞窟に行くことが必要だと認めてくれたのだ。

 洞窟は入り組んでいたが、導かれるように迷うことはなかった。まるで元からそれしか道はないというように、足取りに迷いがない。

 そして、それは見えた。

「夜の紋章…!」

 驚きの声を上げたのはルックだった。目の前にあるのは一口の剣。それを紋章と言う。つまり、剣に宿っているということだろうか。

「なぜ、こんな所に…」

「何だか知らねぇが、これがあればあの野郎をぶちのめせるんだろ?」

 ルックの呟きも気にせず、ビクトールは剣に手を掛けた。

「ばっ…!」

 罵る言葉も最後までは紡がれず、突如僕等を包んだ光りに掻き消された。



「こんの馬鹿!」

「うわっ!なにがだよ」

「この状況でなにがとか言う!?ホンット馬鹿!!」

 光りから放り出されたと思うと、ルックがビクトールに怒鳴りつける。それも尤もだった。
 今いるのは、先程の洞窟とは似てもにつかぬ木々に囲まれた小さな村だ。原因はどう考えてもあの剣で、考えなしに触れたビクトールに非がある。

「誰?」

 幼い声に振り返る。

「…!」

「ひょっとして、ウィンディって人?」

「テッドくん…」

 クレオの呟きは、僕が思っていたものとまるでかわりはなかった。



 そこにいたのは、小さなテッドだった。













進まない…!
どうしてでしょう。今までの進行ペースならもうネクロード倒しててもいいくらいなのに。
それは言い過ぎかもしれませんが、過去編は終っててもいいはず。
きっと影響を受けやすいのでしょう。
今読んでいる本が進むの一日二日で一冊分な感じなので。
まぁすぐ元に戻ると思いますが。

ゲームを進めながら同時に書いていれば、もっと正しく書けるのでしょうが、
生憎それをしていないのでこんな適当な捏造だらけになっています。
ゾラックがどう言って一行をクロンに向かわせたのか。
フッケンがどう言って一行を洞窟に向かわせたのか。
テッドがどう言って一行(一部)を驚かせたのか。
まるで思い出せないのでれっつねつぞう。

このごろのは坊ちゃん視点が多くて、ルック視点が恋しくなってきました。
坊ちゃん視点だと都合が良かったりするところもあるのですが、
そろそろルック視点にして坊ちゃん視点で語れなかったところを補足していこうかなぁ。
とか思ってます。